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PRODUCTION NOTE
プロダクションノート

多幸感溢れる圧巻のミュージカルシーンが完成!
多幸感溢れる
圧巻のミュージカルシーンが完成!
「台本の準備稿にはミュージカルシーンはなかったのですが、今作は全体が舞台劇に近い作りなので、エンディングもカーテンコールがやりたくなった。出演者が歌い踊るかつてのMGMミュージカル風にね」(三谷監督)ミュージカルナンバー「ヘルシンキ」の作詞はもちろん監督自らが手がけ、作曲は『ザ・マジックアワー』(2008年)以降すべての三谷映画の音楽を担当する荻野清子。ステージングと振付けは、三谷作品の振付を多数手がける本間憲一。
長澤はクランクインの一カ月前から歌稽古とダンスの特訓。他のキャストも時間が許す限り稽古を重ねた。舞台出演も多い長澤、瀬戸、宮澤は予想を上回る存在感でステージの空気を支配。「瀬戸さんが踊れることは知っているけど、まさかあんなことが出来るとは思わなかった」と三谷監督も驚いた瀬戸のキレのあるダンス。「あのシーンは僕とエマちゃんだけ少し特殊な立ち位置で、動きがどんどん足されていきました。エマちゃんが派手な動きになると、僕も連動して派手な動きになる。何なら“小磯はどこ行ったんだ?”と思いながら、はじけまくったという感じです(笑)」(瀬戸)そして、舞台人の底力を感じさせる宮澤のコミカルかつ大胆なダンス&歌声も素晴らしい。「三谷さんからは“パッションで!ファイヤーダンス!”という演出をつけていただいて、そんな曲調じゃないけどなと思いながらやりきりました(笑)。あのダンスは私が考えてやったものではないということは、是非お伝えしておきたいです。私と瀬戸くんだけはほぼフリーダンスのような振り付けで、最後まで何が正解かは分かりませんでしたが、三谷さんの遊び心が炸裂していると思うので楽しんで頂けたら嬉しいです」(宮澤)
一方ダンス未経験者が多い夫たちのダンスは、それぞれに味わい深く親しみが持てる。タキシード姿でビシッと決めポーズをかましながら登場する彼らの姿は、映画の最後の瞬間まで温かい笑いを提供してくれるだろう。「台本をもらって本当にびっくりしました。“聞いてない”というのが最初の感想です(笑)。皆の動きがバラバラだったりはしますが、一生懸命踊っているうちに“楽しいかも”と思えたのは自分でも発見でした」と語るのは、ミュージカルシーンの最初のリハはかなり気が重かったという西島。「歌い踊る姿がなかなかイメージできない西島さんや松坂さん、遠藤さんや彌十郎さんが必死に踊りの稽古をしている姿は感動的で、しかも本当に申し訳ないですが、本人たちは大変だろうけど、見ていると楽しくなり、気持ちが明るくなる。彼らが懸命に稽古をして本番に臨んだことがスクリーンを通じて伝わり、それもまたお客さんの胸を打つポイントとなると思います。長澤さんの圧巻のパフォーマンスとキャストそれぞれの個性が輝くダンスで、ミュージカルシーンは間違いなく今作の注目シーンとなりました」と三谷監督も語る。
当初はエンドクレジットの背景として流す予定だったというが、リハーサルを重ねる中で「独立させて見せないともったいない」(三谷監督)というクオリティに到達。長澤がゴージャスな舞台衣裳に身を包み、電飾が輝くまばゆいステージ上で力強く「ヘルシンキ」を歌い上げる姿は、突然のミュージカルシーンという観客の疑問を全て帳消しにするほどの艶やかさ&説得力に満ちている。「このシーンも最初はカットを割ろうと思っていたのですが、あのセットで長澤さんが歌い踊っているのを見たら、ここもカット割りは最小限に抑えた。もともと昔のミュージカルは、あんまり割ってないんですよ。「雨に唄えば」も「バンドワゴン」もね。クラシカルな雰囲気が出てよかった」(三谷監督)スオミという女性のさらなる新たな一面を、最後まで堂々と演じ切り、歌い上げ、踊り切った長澤は、このシーンで無事クランクアップを迎えた。
観客を一瞬たりとも飽きさせない多幸感溢れるゴージャス&コミカルなミュージカルシーンは観客の心を鷲掴みにし、帰り道では思わず「ヘルシンキ」を口ずさんでしまうだろう。