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PRODUCTION NOTE
プロダクションノート

“長回し”に備えた入念なリハーサル
三谷映画の大きな特徴のひとつが「長回し」。「できるものなら、すべてのシーンを1カットでやりたいくらい長回しが好きです」(三谷監督)「三谷さんの作品に1カット1シーンが多いのは、物語が地続きにあるから。時間の流れがはっきりとあって、アバウトじゃないんです。カット割りがなくても、演じていればカットが割れるという印象が三谷映画にはありますね」(長澤)その長回しを本番で実現させるために、三谷監督の発案でクランクイン一ヵ月前からメインキャストたちは入念なリハーサルを重ねた。劇中のキャスト陣の絶妙な掛け合いは、実力派俳優陣揃いということもありながら、このリハーサルの賜物である。だがここで監督から予期せぬ軌道修正をされたのが、大ベテラン・遠藤。台本上、魚山はセリフの末尾に「!」がつくようなワードが多かったため、遠藤は2時間以上のリハーサルの間中、「怒鳴りまくった芝居をして、最後は声が枯れちゃいました」と語る。だがリハーサルが終了した時、監督がおもむろに遠藤のそばに歩み寄り「この役は声を枯らすような役じゃなく、イメージは高倉健さんです」と一言。これにはその場にいたキャスト陣も全員爆笑。遠藤も「え~!?っと思いました。健さんと180度違うじゃん!って(笑)。後々健さんのことは忘れていいとは言われましたが、出発点はまるで外れたところから始まりました」と苦笑いするしかなかった。